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ネプチューンとポセイドンの違いは何でしょうか。
ネプチューンとポセイドンって同じ神様なの?
どっちも海の神様?
何が違うの?
この記事では、ネプチューンとポセイドンの違いについて役割や性格なども踏まえて紹介します。
神話のネプチューンとは
ネプチューンは、ローマ神話における海の神です。
「ネプチューン」は英語読みで、古典ラテン語ではネプトゥーヌスといいます。
元々どのような神であったかはよく分かっていませんが、語源的にケルト神話やインド神話・イラン神話との関連性が指摘され、古いインド・ヨーロッパ語族系神話の水神に起源を有すると考えられることから、泉や河川、湖沼を司る水の神であったとされます。
早くからギリシア神話のポセイドンと同一視され、馬の神としても崇拝されるようになったため、ローマ神話の馬の神コーンススとも同一視されるようになりました。
7月23日の祭礼「ネプトゥナリア」が古くから行われていることから、ネプチューンがローマの最古の神に属していることが推測されます。
暑さ真っただ中のこの祭日には、「日よけ」umbraeとよばれる小屋が木の枝葉でつくられたのですが、その祭儀の内容はまったくの不明です。
ネプチューンがもともと水神であったことから、暑い季節、つまり収穫の直前に水を祈願した祭礼であることが考考えられます
シンボルは、馬、イルカ、三叉槍で、芸術作品ではよくそれらとともに描かれます。
配偶神はサラーキア、兄弟はユーピテル、プルートー、ケレース、ユーノー、ウェスタです。
ローマ神話はギリシャ神話をまるまる取り込んだため、もとのローマの土着の神とギリシャの神が融合し、神話の内容はギリシャ神話と大差ありません。
そのため、現在残っているネプチューンの神話も他のローマの神同様、ほとんどがポセイドンのものです。
妻のサラーキアはギリシャ神話のアムピトリーテー、兄弟のユーピテルはゼウス、プルートーはハデス、ケレースはデメテル、ユーノーはヘラ、ウェスタはヘスティアと同一視されています。
いずれもローマの土着の神だったころの神話は残されておらず、もともとの性格はわかっていませんが、ネプチューンとの関係性はギリシャ神話のそれとおおよそ同じです。
神話のポセイドンとは
ポセイドンは、ギリシア神話の海と地震を司る神です。
オリュンポス十二神の一柱で、ハデスの弟、ゼウスの兄、アムピトリーテーを妻とし、トリトン、ロデ、ベンテシキュメが彼女との子供です。
海洋の全てを支配し、全大陸すらポセイドンの力によって支えられていると言われています。
地震をもコントロールできるとされ、地下水の支配者でもあり、泉の守護神ともされます。
シンボルは、三叉戟、イルカ、馬、牡牛です。
ポセイドンの地位と実力は、ゼウス・エナリオス(海のゼウス)と呼ばれるほど高く、最高神ゼウスに次ぐ圧倒的な強さを誇ります。
ティタン族との戦いの際に、キュクロープスから贈られた三叉戟を最大の武器とし、これによって大海と大陸を自在に支配します。
三叉戟を使えば嵐や津波を引き起こし、大陸をも沈ませることができる上に、万物を木端微塵に砕くこともできます。
強大な地震を引き起こすことも可能で、あまりの凄まじさに、大地が裂けて冥界が露わになってしまうのではないかと冥界の王ハデスが危惧したほどです。
ポセイドンの性格は荒ぶる海洋に喩えられ、粗野で狂暴な性格で、しばしば傲慢な人間を罰しました。
高潮や嵐といった自然現象の脅威によって罰することもあれば、海に住まう巨大な怪物に都市を襲わせることもありました。
古くはペラスゴイ人に崇拝された大地の神(特に地震を司る)であったと考えられ、異名の1つに「大地を揺らす神」というものがあります。
大地の神であった特質からデメテルの夫の位置にいることもあります。
もとは大地の神であったことから、ポセイドンは海の女神であるアムピトリーテーを正妻にしたことで、大地と共に海をも司るようになったと言われています。
アムピトリーテーは美しい海の女神ですが、大波を引き起こしたり、巨大な怪魚や海獣を数多く飼っているなど、強力な力を秘めていました。
また、馬との関わりが深く、競馬の守護神としても崇められました。
ポセイドンの宮殿は大洋の中にあり、珊瑚と宝石で飾られているとされています。
ネプチューンとポセイドンの違い
ネプチューンとポセイドンの違いについてまとめます。
ネプチューン | ポセイドン |
---|---|
ローマ神話 | ギリシャ神話 |
古くは水神 | 古くは大地(地震)の神 |
現存する独自の神話を持たない | 現存する独自の神話を持つ |
古い印欧神話との関係が深い | ペラスゴイ人に崇拝された神 |
表にして大きく違いを表すと上記のようになります。
今では同一視され、ほぼ同じ神として扱われますが、もともとは全く別の神でした。
ローマ神話がギリシャ神話をそっくりそのまま飲み込んだことで両者の違いが小さくなりました。
もとから存在するローマ神話は忘れ去られ、ローマ神話に登場する神々の話もギリシャ神話をすべて古典ラテン語に翻訳しただけで、内容は同じものになりました。
よって、今なお現存しているネプチューンの神話もすべてポセイドンのものをローマに輸入したものです。
7月23日の祭礼「ネプトゥナリア」がネプチューン独自の祭礼で、ポセイドンとは違うローマの古くからの神であるとこを証明しますが、今ではその祭礼の内容は不明のため、本来のネプチューンに関する資料は現存していません。
そのため、現在では名前や登場する神話が違う同じ神と言えます。
ローマ神話とギリシャ神話の関係性
では、そもそもローマ神話とギリシャ神話とはどのような関係なのでしょうか。
ローマ神話とは、古代ローマで伝えられてきた神話で、2種類あります。
古代ローマの建国の歴史、そしてギリシャ神話のローマ的翻訳です。
そのうちローマの建国に関する部分については、歴史的事実を反映したものとして解釈されることがあります。
実際に近年の研究の成果によって、伝説とされていたことの一部が史実だと証明されているものもあります。
そして、一般にローマ神話と呼ばれる神々の話は、ギリシャ神話を古典ラテン語に翻訳したものです。
ギリシャ神話は、ギリシャの土着民、エーゲ海、侵入民族、オリエント神話など様々な地域や民族の影響を受けながら成立しました。
ギリシャは「世界の中心」と呼ばれるほど繁栄しますが、次第に衰退していき、ローマに吸収されます。
初期のローマ人はギリシャを取り込む過程で、ギリシャの文化も融合していきます。
中でも神話は、宗教的事実を背景として、おもに歴史的事件や祭儀の起源を説明するために受け入れました。
これらローマの神々のギリシア化を促した原因の一つは、ギリシャ文化を盛んに取り入れていたエトルリア(BC8~BC1頃にイタリア半島中部にあった都市国家群)の影響を早くからローマが受けていたことによると考えられています。
ギリシャ神話の輸入以前からローマ固有の神話があった可能性は高く、ほかの印欧神話と比較して、比較神話学では、古代ローマ神話の再構築を行っています。
また、ローマ独自の神話は、ほとんどがローマ文学古典期以前に忘れ去られたと考えられ、今日ではわずかにアンナ・ペレンナ祭の起源譚が残っていて、学者たちはローマの祭儀に注目し、研究をしています。
しかし、何もかもが融合されたわけではなく、独自のオリジナリティを保つ神も存在しました。
・ヤヌス
ローマの門の神・始まりと終わりの神
前頭部と後頭部その両面に顔があり、物事の表と裏を見る能力がある
・リベルタス
ローマの自由を司る女神
(一説によるとギリシャのエレウテリアという女神と対応している)
ほかにも、ローマ神話においてギリシャ神話と全く異なる扱いを受ける神もいました。
例えば、軍神マルスはギリシャ神話のアレスに相当しますが、ローマ神話では建国者ロムルスの父とされ、篤く信仰されました。
ギリシャ神話でのアレスは、戦いの神で性格は悪く、気性も荒く、かなり嫌われている神です。
一方で、ローマ神話ではマルスはもともとは農耕の神でした。
農耕民族であったローマ人にとって、芽吹きの季節で農耕が始まる3月を司るマルスは重要な神でした。
また、3月が軍隊を動かしやすい時期であることや戦争によってどんどん領地を増やしていくロムルス王の姿とマルスが重なり、軍神としても祭られるようになったのです。
まとめ
以上、ネプチューンとポセイドンの違いについて紹介しました。
もともとは全然違う神様だったんだね~
ローマ人がギリシャ文化を吸収するという歴史があったんだね
本来は全く別の神でしたが、今ではほとんど同じ神と言えます。
ローマが繫栄する過程でギリシャ文化を融合した結果が、今なお足跡を残しています。