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みなさんは幸福な王子とツバメに対して、どのような感情を持っていますか。
王子もツバメもかわいそうだなあ
ツバメはかわいそうだけど、王子はかわいそうだとは思わないなあ
幸福な王子が怖かったり、嫌いだったり、ツバメがかわいそうだったりいろいろな気持ちがあるのではないでしょうか。
この記事では、オスカー・ワイルド好きのライターが「幸福な王子」が嫌い・怖いと言われる理由やツバメは可哀想なのか?王子の心臓は割れてしまったのか?という疑問について回答します。
幸福な王子は嫌い・怖いと言われる理由
幸福な王子は嫌い、怖いという声を聞きます。怖いというのはツバメも王子も死んでしまう結末だからでしょうか。
わたしは怖いとは思いませんが、幸福の王子を嫌う人がいるのはわかります。
ここでは、王子が嫌われる理由について考察していきます。
王子が嫌いな理由として以下の点が挙げられます。
- エジプトに向かう途中のツバメを無理矢理引き留める
- 王子は自分の宝石や金箔を剝いでツバメに届けさせ、実際には何にもしない
- ツバメを死ぬまで働かせる
- 南へ渡り損ねたため、最終的にツバメを死なせてしまう
- そもそも王子が行っていることは「優しさ」だと思わない
エジプトへ向かうはずだったツバメを引き留め、死なせてしまったことに多くの人は、憤りを感じ王子を嫌っています。
そして、王子は像なので動くことはできません。
そのため、ツバメを働かせている王子は、実際には何一つとして成していないことも嫌われている理由です。
ほかにも、王子の行いについても嫌われている原因です。
王子はツバメに宝石や金箔を配らせますが、結局王子は貧しい人に文字通り自分の身銭を削って分け与える事に満足して、その行為によって本当に人々が幸せになったかについてまるで考えていないのです。
いきなりお金だけもらっても、その一瞬の幸せは一体いつまで継続できるでしょうか。
よほどの大金でない限り、すぐに元通りの生活になってしまいます。
本当に救いたいのなら継続的に長い年月かけて援助し続けてなくてはいけなく、王子の行いは本当の「優しさ」だと言い切れません。
また、王子が最後悲しみで死んでしまうように、現実を生きている私たちも最終的に死んでしまっては元も子もありません。
もし、ある心優しい息子さんが王子のように人助けをしていたら、ご家族は始めのうちはやさしく育った息子を喜ぶでしょう。
しかし、自分のすべてを貧しい民に分け与えて、とうとう命までも失ってしまうとどうでしょう。
家族はそれでも息子のやさしさを尊ばなくてはならないのでしょうか。
前述したとおり、わたしもあまり王子は好きではありません。
なぜなら、王子の取った行動は最善だったとは思わないからです。
宝石を分け与えるだけでは一時しのぎで人々は助かりませんし、ツバメを死なせずに済む方法も模索するべきでした。
幸福の王子が伝えたいこと、皮肉や自己犠牲についても別記事で考察しています。
ここで、物語としての王子の役割について考えてみましょう。
王子は像で動きませんが、心があり、人々を救いたいと考えます。
一方で、ツバメは自由にどこへでも行けますが、特に人を助けたいとは思わず、ただ渡り鳥であるから南へ向かっているだけです。
王子が心で、ツバメが体、実は本来一人の人間が持っている二つのものを王子とツバメが一つずつ持っているのです。
童話ではよくこのように本来は二つ同時に存在するものをあえて二つの登場人物に分けて描きます。
そうすることによって、二つの存在が際立つのですが、この童話の場合、幸福な王子が気持ちだけで行動を伴わないため嫌われやすくなります。
幸福な王子のツバメはかわいそう?
次に、ツバメは本当にかわいそうでしょうか。
ツバメは、最初から最後までずっといやいや王子のお使いをしていたのでしょうか。
幸福な王子が嫌いな理由で「ツバメを死なせた」ことを挙げるかたの中には、ツバメはとてもかわいそうだと感じるかたもいると思います。
王子の身勝手なお願いを聞き、ツバメは街に残りました。
本当はエジプトで仲間とともに冬を越したかったはずで、王子に引き留められなければツバメは冬を越し、死なずに済んだことでしょう。
確かに王子に頼まれなければ、ツバメはこの先まだまだ生きることができたので、死んでしまった事実は残念だと思います。
しかし、わたしはツバメがかわいそうだとは思いません。
なぜかというと、最期のツバメは幸せではだったのではないでしょうか。
はじめは王子に頼まれ仕方なくツバメは宝石を貧しい人々に届けます。
ところが、途中からツバメは自発的に宝石を届けるようになり、エジプト行きを中止します。
文中で、お使いを済ませたツバメは、王子にこう言いました。
「不思議なんですが、こんなに寒いのに、とてもあたたかい気持ちがします」。
ツバメは人を助けることによろこびを感じ、王子と気持ちを共にします。
その結果、死んでしまったツバメに対して王子の責任はありますが、ツバメも自らその選択をしたので、満足のいく生き方をできたのではないでしょうか。
また、死んでしまう前にツバメは、王子に飛び立つのでキスをしていいか聞きます。
そして、飛び立つと言うツバメをエジプトに行くと勘違いをした王子に「死の家に行くんです。 『死』というのは『眠り』の兄弟、ですよね」とツバメは言うと王子にキスをし、力尽きてしまいます。
ツバメは「死」を「眠りの兄弟」と言っていることから、おそらくツバメはすでに覚悟して、この世の未練もなく、心が満たされており、「死」を恐れていません。
「死」は悲しいことですが、このようなツバメをかわいそうだと思うのは、わたしは少し傲慢だと思います。
幸福な王子はなぜ鉛の心臓が割れたのか?
そして、ツバメが死んでしまったあと、王子の心臓はなぜ真っ二つに割れてしまったのでしょうか。
以下のような理由が考えられます。
- ツバメを死なせた王子の罪、責任
- 王子が自分の罪を認識した瞬間
- 王子の大きな後悔
- ツバメへの愛情
- 本当の愛情を知った瞬間
- ツバメの死の悲しみ
王子はツバメが死んでしまうまで人々を救いたい気持ちでいっぱいで、ほかのことにまったく目を向けていませんでした。
ツバメが死んでしまったことで、王子は自分がツバメを殺してしまったことに気づき、その罪悪感や悲しさ、喪失感で心臓が割れてしまったのでしょう。
王子はツバメが落ちたその瞬間にツバメがエジプトに行かず王子を選び、献身的に働き、すべてを与え尽くして、死んだことをはっきりと理解しました。
自分が町の苦しむ人々を放っておけなかったように、ツバメも自分の涙を放っておかないでいてくれたこと、そのためにいのちまで失ったことを痛感したのです。
また、王子はツバメが自分にとってどれほど尊く愛しいものであったか、自分がツバメを本当はどれほど愛していたか、王子自身、気づかないうちにツバメの存在は王子の心の大部分を占めていました。
それを知ると同時に、そのツバメを自分のせいで死なせてしまったことをひどく後悔しました。
最も愛しく大事な存在を殺した自分の責任と罪を自覚すると、心臓が真っ二つに割れてしまうしかなかったのでしょう。
しかし、それはまた王子にとって本当に愛された初めての経験だったことでしょう。
生前の王子への媚びへつらいや上辺だけのご機嫌取りでなく、自分を本当に愛し尽くして死んだツバメの存在は、王子にとってかけがえのない存在でした。
すべてを与え尽くしたと思っていた王子が、唯一与えられなかったものを王子はツバメに教えられたのかもしれません。
それは自分自身のいのちでした。
それをツバメは王子に与えてくれたのだと思うと、王子は苛烈な罪責感と喪失感と共に知ったでしょう。
幸福な王子に対する疑問の声(口コミ)
幸福な王子に対する疑問の声を紹介します。
みなさん、幸福な王子のお話や王子自身などさまざまな疑問をお持ちのようです。
ただの童話と言えども疑問点の多いお話だからこそ、人々を引き付けるのかもしれませんね。
どの疑問に共感しましたか。
幸福な王子の絵本
最後に、幸福な王子のオススメの絵本をいくつか紹介します。
- しあわせの王子 (いもとようこ世界の名作絵本) 金の星社 (2007)
- 幸福の王子 (リトルベル) 日本基督教団出版局 (2014)
- 幸福の王子 ポプラ社 (2019)
- しあわせなおうじ (はじめての世界名作えほん) ポプラ社(2018)
「しあわせの王子 (いもとようこ世界の名作絵本) 」は、いもとようこさんが作画をされており、やさしい絵がとても魅力的です。ただ、王子とツバメの絵がほとんどです。
「幸福の王子 (リトルベル)」は、小学校2・3年生に適した絵本です。
あまり小さすぎるお子さんには向いていませんので、ご注意ください。
ポプラ社の「幸福の王子」は、「ポプラ名作童話シリーズ」の一つで、小学校低学年のお子さんでも名作を読める児童書シリーズです。
また、ポプラ社のもう一つの絵本である「しあわせなおうじ」は、はじめての読み聞かせをする1歳児からひとり読みのできる6歳児まで、子どもたちの成長に合わせてお読みいただけるシリーズです。
まとめ
以上、幸福な王子とツバメに対するみなさん感情と王子の心臓が割れた理由についてまとめました。
王子が嫌われる理由はいろいろあるんだね〜
王子の心臓が割れた理由は、ツバメに対する思いがあったんだね
心臓が割れた理由を知ってもやはり王子は嫌いですか。
王子とツバメの心を読み解くと切なくなりますが、二人はお互い良きパートナーだったのかもしれませんね。